Q:インプラントは歯槽膿漏になりますか?
 
A: プラークコントロールさえ出来ていれば、天然歯が歯槽膿漏になる確率よりもずっと低いのです。

まず、歯槽膿漏についてお話しましょう。

歯槽膿漏は成人のほとんどの人がかかっていると考えられている病気です。症状としては2つあります。歯肉が炎症を起こして赤く腫れ、直ぐに出血する歯肉炎という症状と天然歯が埋まっている歯槽骨という骨がやせてくる症状です。
症状の進み方は、歯と歯肉の境界に付着したプラーク(食べかすを栄養とする微生物のかたまり)に細菌(グラム陽性好気性球菌など)が集まり、歯肉に炎症すなわち歯肉炎を起こします。それを治療しないでほっておくとその炎症が歯根膜を破壊しながら奥へと侵入し歯槽骨を溶かして行きます。骨がどんどんやせてくると、歯肉も一緒にやせてくるので、外から見ると歯が長くなったように見え、歯と歯のすき間が広がってきます。更に進行すると歯がぐらぐらとしてきて抜けやすくなってしますのです。
歯槽膿漏になる原因は歯にプラークや歯石がついていることと歯に対する過重負荷の2つがあります。歯槽膿漏になりかけていたり、既になっている歯に過重負荷がかかると症状もひどくなります。
さてインプラントの場合ですがインプラントの周りにも天然歯と同じようにプラークや歯石も付きますし、炎症を起こして骨吸収が見られる時の細菌も、グラム陰性嫌気性かん菌やスペロヘーターなど歯槽膿漏に類似した菌が存在します。ただしインプラントと天然歯において、夫々の周りを取り囲む歯周組織については、多少異なるところがあります。それは歯肉とインプラントのくっつき方と歯肉と天然歯のくっつき方、それからインプラントと歯槽骨のくっつき方と天然歯と歯槽骨のくっつき方の違いです。
天然歯と歯肉は双方の組織が絡み合うことでくっついています。例えていうと、お互いが手を出し合って指と指で絡み合っているような状態です。ところがインプラントと歯肉は片方が手のひらで、片方が指を出している状態です。指を出しているのは歯肉で、歯肉から出ている結合組織という細かい糸のような繊維がフィクスチャーに絡んでいます。ツタが壁を這っているような感じです。つまり強く引っ張れば剥がれてしまう状態です。天然歯と歯肉の間にプラークが入り込むのと同様フィクスチャーと歯肉の間にもプラークが入り込んでインプラント周囲炎というインプラントの歯周病の原因となるわけですからその違いは気になるところです。
しかし実際にインプラントでは、プラークが歯肉に入ってくると「バイオロジカルシール」というものが形成され歯肉のなかにバリアとして機能します。したがってインプラントが歯周病になりやすい事はありません。インプラントを長く維持するには、天然歯と同様正しい歯磨きをして、プラークコントロールすればいいのです。
もう一つ歯槽膿漏を悪化させる歯の揺れという観点から、インプラントと天然歯を比較して見ましょう。
天然歯は健全な歯でも噛み合わさると0.02mm〜0.03mmの幅で揺れています。揺れが大きくなるとプラークが歯肉の中に入りやすくなり回りの骨が吸収してきます。しかしインプラントは骨とがっちり結合しているので、全く動きません。ですから噛み合わせさえ調節してインプラントに集中的に力がかからないようにさえしていれば心配はありません。
 
 
 
 
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