Q:合併症、偶発症、後遺障害にはどのようなものがありますか?
 
A: インプラント手術に関しては通常は問題となるような重い障害が起こる可能性はほとんどありません。しかし、どのような手術や治療においても問題が起こる可能性はあります。特に顎骨内に異物を埋入するインプラント手術では多様な合併症、偶発症、後遺障害の起こる可能性がある事を十分に理解して頂きたいと思います。

合併症、偶発症、後遺障害は@手術に伴うもの、A上部構造の歯に伴うもの、Bインプラントの破折と脱落の大きく3つに分類されます。

@ 手術に伴うもの
手術に伴う合併症、偶発症、後遺障害は主に機械的損傷、創部の腫脹、及び術後の腫れが原因として考えられます。また時期的に見ると手術時に短期間に認められるものと長期的に症状が持続されるものに分類されます。以下起こる可能性のある臨床症状と対応を示します。

{手術時から短期間のもの}
臨床症状:出血、術後の腫れ、痛み、熱皮下出血班(青あざ)が出現し、口唇の知覚異常(唇がピリピリするなどの知覚異常)、開口異常(口が開きづらい)、顎関節に痛みや音がする、口角炎(口を開けると口角が裂ける)等が有ります。極めて稀に、インプラント(フィクスチャー)の鼻腔(上顎洞)への迷入、ドリリングバーなどの誤飲、誤嚥、隣接歯の削除、隣接歯の脱落(特に歯周病症状が進行している場合)、歯槽骨骨折などの可能性があります。
対応:外科的な手術を行うのですから当然、術中、術後、出血はある程度起こります。しかし、術後に出血が続く場合は、切開、縫合した歯肉の裂開、穿孔の可能性がありますので、ガーゼで約15分程度創部を押さえる(圧迫止血)、またはお口の包帯の使用、あるいは再度縫合を行ったりする場合もあります。
また、手術直後から数週間以内に認められる術後の腫れ(発赤腫脹)、疼痛(痛み)、熱皮下出血班(青あざ)に対しては、抗生剤や消炎酵素剤、解熱消炎鎮痛剤、創部への軟膏塗布でほとんどのケースは数週間で自然に治癒します。治癒が長引いたり遅れる場合は自宅での安静療養が必要になります。

{長期的なもの}
臨床症状:口唇(くちびる)や舌の知覚麻痺(しびれや感覚が無くなる)が継続したり、骨膜炎、骨髄炎、骨壊死、副鼻腔炎(上顎洞炎)などがあります。
対応:こうした術後の長期的な合併症、偶発症、後遺障害については、患者さまに最善と思われる処置を適切に行います。口唇(くちびる)や舌の知覚麻痺についてはビタミンB系を中心とした複合ビタミン剤と神経賦活剤の併用投与を行います。それでも改善されない場合は、大学病院などで星状神経節ブロックを行います。さらに上顎洞炎などになった場合は、原因と考えられるインプラントの除去や上顎洞洗浄、感染部位を取り除く手術を必要とします。

A上部構造の歯に伴うもの
インプラント以外の歯の治療と同様に、歯や上部構造が磨耗したり破折する可能性があり、極めて硬い物や石などを噛むと陶材(セラミック)の人工の歯は割れます。また、インプラントとアバットメント(土台)はネジで連結されており、固定したネジの緩みや破折の生じる恐れが有ります。もし、上部構造の歯の陶材(セラミック)が割れた場合は、上部構造を再度製作すれば特に問題は起こりません。また、インプラントとアバットメント(土台)を連結しているネジが折れたり、緩んだ場合は上部構造を外して、折れている場合はネジの交換、緩んでいる場合は再度締め直すことになります。その場合上部構造は再度製作しなければなりませんが、特に外科的な手術は必要ありません。

Bインプラント体の破折と脱落
過度の力が加わったり、インプラント周囲の炎症が続くとインプラントの破折やインテグレーションが喪失して脱落します。
特に、フラキシズム(歯ぎしりやくいしばり)の強い方はこうした偶発症を防止するために、ナイトガードなどの装着を指示させて頂いております。もしインプラントが破折した場合、通常は除去し、可能であれば再度インプラントの埋入を行います。インテグレーションが喪失して脱落した場合は通常、ある一定期間を経て骨が成熟するのを待って、再度インプラントの埋入を行います。

Cインプラントと骨が結合しない場合
骨結合型インプラントの治療成績はかなり高い水準まで来ておりますが、インプラントと骨の生着率は100%ではありません。
特に下顎に比べて上顎はやや成績が下がります。もし残念な事にインプラントが骨と結合しないぃ場合は、可能であればある一定期間をおいて再度インプラントを埋入します。

Dその他(喫煙の影響)
喫煙と骨結合型インプラントの予後については多数の報告がされており、喫煙者では非喫煙者の2〜3倍の失敗率になります。特に上顎インプラントを埋入した場合には、煙は直接の刺激になるだけでなく、鼻腔や副鼻腔からも骨や粘膜に悪影響を与えます。
 
 
 
 
Q15 Q&A Q17

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